はじめに
いいねが来なかった。マッチングしても続かなかった。断られてしまった——そのたびに、どう気持ちを立て直すかを考える。それも大切な対処法です。
でも、本当に効果的なのは、傷ついてから立て直すことよりも、そもそも傷つく前提を最初から小さくしておくことです。
期待していたことが起きなかったとき、人はダメージを受けます。逆に言えば、最初から期待値を適切な高さに設定しておけば、同じ出来事が起きても受けるダメージは驚くほど小さくなります。
「断られて当たり前」——この前提を、アプリを開く前にあらかじめ自分の中にインストールしておくこと。これが、傷つかないための一番の事前準備です。ここでは、その具体的な考え方とやり方を紹介します。
ダメージの正体は「期待値と現実の差」である
同じ「返信が来なかった」という出来事でも、人によって受けるダメージの大きさはまったく違います。この差を生んでいるのは、出来事そのものではなく、事前に抱いていた期待値です。
- 「絶対に返信が来るはず」と思っていた人 → 来なかったときの落差が大きい
- 「来ないこともあるだろう」と思っていた人 → 来なかったときの落差が小さい
ダメージの大きさは「現実」で決まるのではなく、「期待していた基準と、実際の結果との差」で決まります。これは心理学でもよく知られている構造で、恋愛やアプリに限らず、あらゆる場面に当てはまるものです。
つまり、傷つきやすさを減らす一番の方法は、出来事の受け止め方を工夫することだけでなく、そもそもの期待値を、現実的な水準に最初から設定しておくことなのです。
マッチングアプリの現実を、数字で捉え直す
具体的な数値は個人差やアプリによって幅がありますが、一般的に言われている傾向を大まかに把握しておくだけでも、期待値の調整に役立ちます。
- いいねを送っても、マッチングに至らないことの方が多い
- マッチングしても、メッセージのやり取りが続かないことは珍しくない
- やり取りが続いても、デートまで進む割合はさらに絞られる
- デートができても、次につながらないことも十分にあり得る
こうして段階を追うと、「うまくいく」というのは、いくつもの確率のふるいを通り抜けた、比較的まれな結果だということがわかります。
これは悲観的な話ではありません。むしろ、「一つひとつの結果がうまくいかないのは、失敗ではなく統計的に自然なこと」だと理解しておくことで、日々の一喜一憂から自由になれるという話です。
アプリを開く前の「初期設定」を作る
期待値のコントロールは、一度決めたら終わりではありません。アプリを開くたびに、自分の中で意識的に「初期設定」を思い出す習慣をつけましょう。
初期設定1:「今日も断られる可能性の方が高い」と口に出す
アプリを開く前に、心の中で、あるいは小さく声に出して、こう唱えてみましょう。
「今日も、うまくいかないことの方が多いはずだ」
ネガティブな暗示のように聞こえるかもしれませんが、これは自分を卑下する言葉ではありません。現実的な基準線を、あらかじめ引いておくための儀式です。この一言があるだけで、実際に断られたときの衝撃が和らぎます。
初期設定2:「いいね」を送る行為を、結果と切り離して考える
いいねを送るという行為そのものに、「成功」も「失敗」も存在しません。成功や失敗が発生するのは、あくまで相手の反応があった後です。
送る段階では、ただ「打席に立った」というだけのこと。打席に立ったこと自体を、先に自分の中で評価しておきましょう。結果は、そこに乗っかってくる追加情報にすぎません。
初期設定3:「うまくいったら儲けもの」という言葉に変換する
「絶対にうまくいってほしい」という期待の代わりに、「うまくいったら儲けもの」という言葉に置き換えてみましょう。
この言葉には、期待を捨てているわけではなく、基準を下げつつも、良い結果への喜びはそのまま残しておけるという利点があります。期待値を下げることと、楽しみを捨てることは、まったく別の話です。
期待値を下げても、楽しみは失われない
「断られて当たり前」という前提を持つことに、少し寂しさを感じる方もいるかもしれません。しかし実際には、期待値を適切に調整することで、恋活そのものを楽しめる余裕が生まれます。
- 一つひとつの結果に振り回されなくなるので、行動量そのものが増える
- 送信のハードルが下がり、より多くの人とやり取りできるようになる
- うまくいったときの喜びが、より素直に感じられるようになる
- 断られても、それが「想定内」であるぶん、立ち直りが早くなる
期待値を下げることは、悲観的になることではありません。むしろ、余計な力みが取れて、恋活そのものに前向きに取り組める状態を作ることです。
「断られて当たり前」を使うときの注意点
この考え方には、一つだけ気をつけたいポイントがあります。それは、「断られて当たり前」を、自己否定の言葉にしないことです。
- 「どうせ自分なんて」という卑屈な感覚に変換しない
- 「断られて当たり前だから、雑に扱っていい」という言い訳にしない
- あくまで、ダメージを減らすための「技術」として使う
この前提は、自分を守るための道具です。相手への誠実さを損なう理由にしてはいけません。期待値を下げるのは自分の心のためであり、相手への向き合い方は、いつでも誠実であるべきです。
事前準備としてのメンタル攻略が、長く続けるコツになる
断られた後にどう立ち直るか、という技術も大切です。でも、それ以上に効果的なのは、そもそもダメージを受けにくい状態を、あらかじめ作っておくことです。
「断られて当たり前」を出発点にすることで、一つひとつの結果に一喜一憂する回数が減り、行動量が増え、結果的に良い出会いに巡り会える確率も上がっていきます。
事前準備としてのメンタル攻略は、恋活を長く、無理なく続けていくための、最も効率のいい土台です。
まとめ
傷つかないための一番の対策は、傷ついた後の立て直し方ではなく、傷つく前の期待値の設定にあります。
傷つく前の「初期設定」を作る3つの方法:
- 「今日も断られる可能性の方が高い」と口に出す
- 「いいね」を送る行為を、結果と切り離して考える
- 「うまくいったら儲けもの」という言葉に変換する
「断られて当たり前」という前提は、悲観するための言葉ではなく、自分を守りながら前向きに行動し続けるための、大人の知恵です。最初にこの基準を自分の中にインストールしておけば、一つひとつの結果にいちいち心を削られることなく、恋活を長く、軽やかに続けていけます。